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食事のタイミングと睡眠中のエネルギー代謝

Meal Timing and Sleeping Energy Metabolism

Yoshitake et al 

Nurtients.2023 Feb 2;15(3):763.

doi: 10.3390/nu15030763.

この論文は、食事の時間と睡眠エネルギー代謝の関係についてレビューしたものです。

主なポイントは以下の通りです。

  • 食事のタイミングを制限すること(夕食時間を早める、朝食を抜くなど)は、24時間のエネルギー消費量にはほとんど影響しないが、血糖値の日内変動には影響する。特に大量の夕食や遅い時間の夕食は、睡眠時の血糖値を上昇させる。
  • 朝食を抜くことは、睡眠時の炭水化物酸化を増加させ、脂肪酸化を低下させる。これは血糖コントロールを悪化させる可能性がある。
  • 睡眠とエネルギー代謝の調節には、オレキシン、レプチン、インスリンなどの共通の調節因子が関与している。高血糖は睡眠を促進する作用がある。
  • 時間制限食が睡眠の質に及ぼす影響は不明だが、改善効果は報告されていないものの、悪影響も報告されていない。睡眠の質の評価には、ポリソムノグラフィーなどの客観的指標が必要である。
  • 時間制限食はエネルギー摂取量を減らし、体重を減少させることが報告されている。睡眠への影響と共に、時間制限食のメカニズムや効果、実生活への適用可能性について、さらなる研究が必要である
 

ここで言う時間制限食(Time-Restricted Eating、TRE)は、一日の中で摂取する食事やカロリーを特定の時間帯に制限する食事法の一種です。これは、一日を通して摂取する時間帯を制限することで、特定の効果や健康上の利点を得ることを目指しています。代表的な時間制限食の形態には、以下のようなものがあります:

  1. 16/8法(16:8ファスティング: 一日を16時間の絶食期間と8時間の摂食期間に分けます。通常、昼食から始めて夕方に晩餐をとり、その後は絶食状態となります。

  2. 12/12法: 一日を12時間の絶食期間と12時間の摂食期間に分けます。これは比較的簡単に実践できる方法で、夜間の絶食時間が含まれます。

  3. 18/6法、20/4法: より厳格な制限を求める場合、18時間または20時間の絶食期間と、それに続く6時間または4時間の摂食期間を設定します。

時間制限食の主な目的は、体重管理や代謝機能の向上だけでなく、細胞修復や健康促進に関連する可能性があるとされています。研究では、時間制限食が血糖値の改善、インスリン感受性の向上、体脂肪の減少、細胞の自己修復メカニズムの活性化などに寄与する可能性が示唆されています。ただし、個々の体験や効果は人によって異なるため、医師や栄養士の指導を受けながら実践することが重要です。