仕事と健康

健康に働くためのヒント

自閉症、不安、肥満、統合失調症、パーキンソン病、アルツハイマー病などにおける腸内細菌群の関与

自閉症 自閉症スペクトラム障害(ASD)においては、腸内細菌群の異常が行動や認知機能に影響を与える可能性が示されています。研究では、ASDの子どもたちに特定の腸内細菌の変化が見られ、これが免疫応答や神経伝達物質の異常に関連していることが示唆されて…

イヌリンが高血糖の予防や治療に役立つ可能性

イヌリンが高血糖の予防や治療に役立つ主な機序は、腸内微生物の改善を通じて体内の代謝プロセスを正常化することです。具体的には、以下のような効果があります: 腸内フローラの改善: イヌリンは腸内の善玉菌であるビフィドバクテリアやバクテロイデス属を…

視床下部-下垂体-副腎(HPA)軸-オキシトシンモデル

「視床下部-下垂体-副腎(HPA)軸-オキシトシンモデル」とは、ストレス反応と幸福感の調節に関与する生物学的メカニズムを示すモデルです。このモデルは、人間の脳内でのオキシトシンの役割とそのストレス反応における視床下部-下垂体-副腎軸との相互作用を…

不眠対策

不眠症は一般的ですが、しばしば診断されず、十分に治療されない状態です。それは睡眠の開始や維持に関する問題を伴い、日中の機能への重大な影響を及ぼす可能性があります。不眠症の治療には、非薬理学的介入(睡眠衛生の改善、認知行動療法)と薬理学的療…

音楽がストレスや免疫機能に関係する

音楽が免疫システムに及ぼす影響についての詳細は、音楽が心理的ストレスを軽減し、結果として心血管系と内分泌系へのストレス反応を減少させる方法に関連しています。音楽は心拍数、呼吸率、発汗などの自律神経系を変化させることが示されています。多くの…

プシコバイオティクス(Psychobiotics)

プシコバイオティクスは、2013年に提案された、精神障害、特にうつ病を含む精神疾患に苦しむ人々に利益をもたらすことができるプロバイオティクスの一種です。プシコバイオティクスは、腸内微生物によって有益な物質に変換される能力を持つ、適切な量の有益…

腸脳相関と精神障害

最近の研究で、ストレス、出生モード、プロバイオティクスの使用、生活習慣、食事など多くの因子が腸内フローラに影響を与え、それが脳機能に影響を及ぼす可能性が示唆されています。また、腸内フローラ(腸内細菌叢)の変化がうつ病、統合失調症、双極性障…

生活習慣病の予防①生活習慣と精神疾患の予防

生活習慣によって引き起こされる疾患には心血管疾患、がん、糖尿病などの慢性病をはじめ、精神疾患に至るまで幅広く、存在します。逆に言うと、適切な生活習慣によって、予防できる疾患も多いということになります。では、適切な生活習慣とはどのようなもの…

19世紀末の鉱山の労働と健康⑤生野鉱山の鉱夫共済組合病院

1890年、明治政府は鉱業条例を制定し、鉱夫が就業中に負傷した場合の救済を決めているが、業務上の疾病に対しての救済は1906年の鉱業法を待たなければならなかった。しかし、これもまだ、不十分なもので、友子同盟のような江戸時代からの労働者自身…

19世紀末の鉱山の労働と健康④生野銀山の塵埃吸引病、鉱夫肺病ー佐藤英太郎の「鉱夫肺病」

1890年、先に触れた坪井次郎の教え子であった、生野の開業医、佐藤英太郎は「鉱夫肺病に就いて」という論文を発表している。その中で「 恩師坪井助教授 八 奥羽地方 山衛生的要 件 二就テ研究セラ レ其報告ヲ束京医学会二於テ演 説 シ鑽山 疾病トシテ外…

19世紀末の鉱山の労働と健康③生野銀山の塵埃吸引病、鉱夫肺病ー坪井次郎の塵埃吸引病

明治になるとほぼ同時期に生野銀山では近代化が図られ、フランス人技師が招かれ、フランス人技師のためのフランス人医師が雇われましたが、この時期にはじん肺についての記録は残っていない。じん肺が近代的な医学論文に現れるのは1890年になってからで…

19世紀末の鉱山の労働と健康②明治の鉱業法制

高島炭鉱問題は当時の炭鉱の悪い一例で、坑内労働はどこも劣悪な労働条件でした。このような状況に至った明治の鉱山法制がどのようなものであったのか、を見ていきます。まず、明治新政府は明治二年二月,行政官布告一七七号を出し,全国の鉱山に対ーする新…

19世紀末の鉱山労働と健康①高島炭鉱問題

高島炭鉱は長崎県西彼杵半島の西側にある高島という小島に存在した炭鉱です。 高島炭鉱は江戸時代から佐賀藩の管理下にあり、藩の許可を得た商人が経営していた。 1868年、佐賀藩とイギリスのグラバー商会が共同で高島炭鉱を経営する日英共同経営が始まった…

明治期のマッチ工業とりん中毒

富国強兵を国是とする明治政府にとって輸出産業を盛んにする必要があり、当時主要産業であった生糸に着目するのは当然で、フランス人技師ポール・ブリューナを招いて群馬県富岡市に1872年、日本初の機械製糸工場が創業を開始したことはよく知られている…

タイトル: 「私の研修医時代 - 過酷な日々の記憶」

30年位前、厚生労働省直轄の病院での研修医としての私の日々は、今振り返っても信じられないほどの過酷さでした。朝6時、まだ夜が街を覆っている静かな時間から、私の一日は始まります。採血に回るこの時間、病棟は静寂に包まれていて、私は患者さん一人一人…

坑夫の自助的救済組織である友子

1友子とは 江戸時代の鉱山では煙毒の記録は数多くあるが、災害記録は殆どない。しかし実際には災害による被害も多かったことは想像に難くない。こうした災害に対する死亡や、労務不能となった場合の社会的補償制度も確立していない時代であった。こうした厳…

幕末の生野銀山の労働と健康

1煙毒予防と梅干し 生野銀山では19世紀前半から半ばにかけ、佐渡金山同様、生野銀山でも「煙毒」に悩まされていました。 江戸時代の生野銀山では、採鉱作業者が梅干しを口に含むことで「煙毒」予防を図っていた記録があるようです。 梅干しには酸性の液が…

幕末の佐渡の堀だおれー能吏、川路聖謨(かわじとしあきら)が見た佐渡金山の鉱夫の労働と病気

川路聖謨は極貧の家に生まれ、幕府の要職を勤めるまでに出世し、日露交渉でも活躍したことで知られているが、佐渡一国騒動があった後これを処理するために佐渡奉行として赴任している。彼は聴訴、財務、庶務、検察など、何をやっても有能な人物であったとい…

軽粉製造と水銀中毒

水銀鉱山として有名であった松坂では平安末から鎌倉時代にかけて水銀製のおしろい(はらや)が製造されて、今日の貴族や上流階級の化粧に愛用された。松坂の射和では世襲の白粉座があり、室町時代の文政年間が最盛期であった。射和の白粉の製法は朱中山の赤…

徳川時代の住友銅吹所の労働災害

江戸時代の労働災害の記録は殆どないが、1833年大阪の住友銅吹所での労働災害が記録されている。別子銅山で採鉱した鉱石を炉の中で焼いたが、この鉱石は硫黄を含むので、亜硫酸ガスが発生し、近づくのが困難であった。この焼いた鉱石を溶かして粗銅をと…

大葛金山金堀病体書

1811年大葛金山の山主であった荒谷忠兵衛は今日知られている珪肺の症状を的確に記していると言っていいほどに詳しい記述を「金山金堀病体書」に記している。あまりにも的確なので、当初は医師が書いたものと思われていたくらいだという。当時の山主が鉱…

江戸時代後期の日本の鉱山労働と煙毒

鉱山労働が過酷なものであったことは容易に想像できると思います。江戸後期には手作業による採掘と、通気の良いところでは火入採鉱法が行われるようになりました。火入採鉱法とは、鉱山内に爆薬を使用して鉱石を採掘する方法です。以下に、この方法の基本的…

明治期以前の労働と健康

明治以前の労働衛生に関する記録は少なく、限られた文献や個人的な日記の・ようなものから推測せざるを得ないが、以下のような職業病が考えられている。 職人の職業病:技術専門職に分類される職人に関連して、例えば、歌舞伎役者が使用する白粉に含まれる水…

菊芋について

菊芋(Jerusalem artichoke)は、特に水溶性食物繊維の一種であるイヌリンを豊富に含んでいることで知られています。イヌリンはプレバイオティクスとして機能し、腸内の善玉菌の成長を促進することが知られています。これにより、菊芋は腸内環境の改善に役立…

時間栄養学的な観点からの食事の注意点

時間栄養学は、食事のタイミングが体のリズムとどのように相互作用するかを研究する分野です。それに基づき、朝食、昼食、夕食ごとの注意点や特徴を以下にまとめます。 1. 朝食 タイミング: 朝目覚めてから1時間以内に摂ることが理想的です。これは体内時計…

時間制限付き食事とカロリー制限による体重減少と心疾患・代謝疾患リスク

Time-restricted eating with calorie restriction on weight lossand cardiometabolic risk: a systematic review and meta-analysisJing-Chao Sun et al European Journal of Clinical Nutrition 2023 この文書は、時間制限付き食事(Time-Restricted Eati…

食事の回数や食事時間の健康への影響

異なる食事のタイミングと頻度が健康に及ぼす影響 The Influence of Meal Frequency and Timing on Health in Humans: The Role of Fasting Nutrients 2019 Mar 28;11(4):719. この論文では、食事の頻度とタイミングが人間の健康に及ぼす影響に関する総合的…

中学生の睡眠時間の短縮化と生活の夜型化の影響

平日と休日の起床時刻の乖離と眠気,心身健康,学業成績の低下との関連 田村 典久ら 心理学研究 2019 年 第 90 巻 第 4 号 pp. 378 – 388 この研究は、中学生を対象に、平日と休日の起床時刻の差(以下「起床時刻の乖離」という)が2時間以上ある生徒(「乖離群…

夜型の特徴

1生活習慣病になりやすい食事を好む 2その結果生活習慣病になりやすい 3学業が不振になりがち 4朝のパフォーマンスが不良 5朝食を抜きやすい 6社会的時差ボケ 7睡眠中の脂肪燃焼が弱くなる 8インスリンの効きが悪い 9座りっぱなしになりがち 10食…

夜型の疾患リスクは高い可能性

Associtations between chronotype,morbidity and mortality in UK Biobank cohort Kristen L.et al The Journal of Biological and Medical Rhythm Research Volume 35, 2018 ,NO.8 1045-1053 クロノタイプは、個々の生体リズムや循環リズムに対する個人の…