平日と休日の起床時刻の乖離と眠気,心身健康,学業成績の低下との関連
田村 典久ら 心理学研究 2019 年 第 90 巻 第 4 号 pp. 378 – 388
この研究は、中学生を対象に、平日と休日の起床時刻の差(以下「起床時刻の乖離」という)が2時間以上ある生徒(「乖離群」)と2時間未満の生徒(「非乖離群」)を比較し、乖離が睡眠習慣や日中の眠気、健康状態、学業成績に与える影響を検討したものです。
調査の結果、起床時刻の乖離が2時間以上ある生徒は全体の38.4%に達し、非乖離群に比べて平日の就床時刻が22分遅く、睡眠時間が21分短かったものの、休日は起床時刻が135分遅れ、睡眠時間が88分長かったことが明らかになりました。こうした睡眠習慣の特徴は、平日の睡眠不足による睡眠負債の蓄積が休日の睡眠時間の延長や起床時刻の後退を招いていることを示唆しています。
さらに、起床時刻の乖離は睡眠の質の低下や日中の眠気、イライラと関連があり、学業成績の低下にもつながることが示されました。これは概日リズムの位相後退に伴う影響と考えられます。
以上から、中学生では平日と休日の起床時刻に2時間以上の開きがある状態は、睡眠習慣を不規則にし、生理機能の乱れから日中の眠気や体調不良を招き、ひいては学業成績の低下にも影響を及ぼす重要な要因であることが示唆されました。生徒の睡眠衛生を改善することが健康維持と学業成績の向上につながることが伺えます。
睡眠衛生を改善するには以下のようなものが考えられます。