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夜型の疾患リスクは高い可能性

Associtations between chronotype,morbidity and mortality in UK Biobank cohort

Kristen L.et al

The Journal of Biological and Medical Rhythm Research

Volume 35, 2018 ,NO.8 1045-1053

クロノタイプは、個々の生体リズムや循環リズムに対する個人の傾向や優れている時間帯を指します。主に人間の睡眠-覚醒リズムが関連しており、一般的には「朝型」(Morning type)と「夜型」(Evening type)の二つの極端なタイプに分かれます。中間的な傾向を持つ人もいます。

  • 朝型(Morning type): 朝早くに目が覚め、日中が活動のピークとなり、夜になると早く眠くなる傾向があります。朝型の人は、早朝に活動することが好まれる傾向があります。

  • 夜型(Evening type): 朝は苦手で、夜更かしすることが好まれ、夜遅くまで活動が続く傾向があります。夜型の人は、夜遅くにクリエイティブなエネルギーを発揮することが多いです。

これらのクロノタイプは、遺伝的な要因や生活習慣、環境の影響によって形成されます。人々のクロノタイプは、個々のバイオロジカルクロック(生体リズム)がどのように調整されているかを示すものであり、これが一日の中で最も効果的な活動や休息のタイミングを示唆します。

この研究は、夜型のクロノタイプが、特に夜型であることが、糖尿病、心理的、神経、呼吸器、および消化器/腹部のさまざまな疾患や障害の高い有病率と関連しており、さらに6.5年間の全死因死亡リスクの増加とも関連していることを示唆しています。クロノタイプを順序変数として考えると、心血管疾患(CVD)による死亡リスクも増加していましたが、統計的有意差は得られませんでした。効果の大きさは小さかったが(クロノタイプの各レベルごとに2%のリスク増加)、これはBMI、内分泌障害、腎障害、筋骨格障害、および消化器/腹部障害と同様の効果であったことが指摘されました。

この研究の強みは、大規模なサンプルサイズと前向きな研究デザインにあります。以前の研究ではクロノタイプと死亡率の関連性がほとんど調査されておらず、これが初めての試みでした。しかし、研究の弱点として、クロノタイプを評価するために単一の質問が使用されたことが挙げられます。また、研究対象者の中には「わからない」と回答した者が多くいたが、これを含めても結果に大きな変化は見られなかったと報告されています。

この研究の結果は、夜型と高い罹患率および死亡リスクの関連性が以前の報告と一致しており、新しい知見を提供しています。夜型は不健康な食事、2型糖尿病、高血圧、うつ病、および薬物乱用と関連しており、これらの要因が夜型と高い罹患率と死亡リスクの関連性の基礎となっている可能性があります。夜型の健康が悪化する要因として、内因性の生体時計と社会的活動のタイミングとの不一致が挙げられ、これによって循環リズムの不一致が生じます。

クロノタイプと死亡率のリンクを理解することは、夜型であるリスクに対処するための追加の行動戦略の開発につながる可能性があります。これらの戦略には、循環系に対処する治療法やできるだけ個々のクロノタイプに合わせてスケジュールを調整するといったものが含まれます。これらの新しい治療法は、健康だけでなく寿命を向上させる可能性があります。