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PDCAAS(Protein Digestibility-Corrected Amino Acid Score)が高い朝食は握力低下を防ぐ

Breakfast Protein Quality and Muscle Strength in Japanese Older
Adults: A Community-Based Longitudinal Study
Kaori Kinoshita RD et al

PDCAAS(Protein Digestibility-Corrected Amino Acid Score)は、タンパク質の栄養品質を評価する指標の一つです。PDCAASは、タンパク質が体内でどれだけ効果的に利用できるかを示す指標であり、消化率とアミノ酸のバランスを考慮しています。

PDCAASは以下の要素を基に計算されます:

  1. アミノ酸スコア(Amino Acid Score): 各必須アミノ酸の食品中の含有量が、人間の必要量に対してどれだけ効果的に補完されているかを示すスコアです。アミノ酸スコアは、最も制限されているアミノ酸に基づいて計算されます。

  2. タンパク質の消化率: 食品中のタンパク質がどれだけ体内で効果的に消化されるかを示す指標です。これにより、実際のタンパク質の利用可能性が考慮されます。

PDCAASは、0から1の範囲でスコアが与えられ、1に近いほどタンパク質が高い栄養品質を持っていることを示します。一般的に、1に近いPDCAASを持つタンパク質は、必須アミノ酸がバランスよく含まれ、かつ良好な消化率を持つことを意味します。

PDCAASは、特に食品の栄養評価や製品開発の際に使用され、たんぱく質の品質を客観的に比較するのに役立ちます。ただし、PDCAASにはいくつかの制約があり、特に植物由来のタンパク質においては、他の指標や補完的な情報も考慮されることがあります。

この論文は、日本の高齢者を対象にしたコミュニティベースの縦断研究です。

主な内容は以下の通りです。

  • 朝食のタンパク質の質(生体利用率)が高いほど、筋力低下の発症リスクが低下することが示されました。
  • 朝食のタンパク質摂取量ではなく、タンパク質の質的指標であるタンパク質消化率補正アミノ酸スコア(PDCAAS)に注目しています。
  • PDCAASの高い群では、低い群に比べて筋力低下発症オッズ比が約50%低かった。
  • この関連は、性別、年齢、BMIなどの要因や、他の食事のタンパク質摂取量を調整しても有意でした。
  • 朝食のタンパク質の質の高さが高齢者の筋機能維持に重要であることが示唆されました。

つまり、PDCAASの高い食事により高齢者における筋力低下防止が示唆されるということです。

なおPDCAAS(Protein Digestibility-Corrected Amino Acid Score)が高い食品は、必須アミノ酸のバランスが優れ、かつ高い消化率を持つ食品です。以下は、PDCAASが高いとされるいくつかの食品の例です:

  1. 卵白(卵の白身: 卵白は必須アミノ酸のバランスが優れており、PDCAASが非常に高い食品の一つです。また、良好な消化率も備えています。

  2. 乳製品: 牛乳、ヨーグルト、チーズなどの乳製品もPDCAASが高い食品です。これらは完全なタンパク質を提供し、アミノ酸プロファイルが豊富です。

  3. : 魚は高品質の動物性タンパク質を提供し、PDCAASが高い食品とされます。特に、サケ、マグロ、鱈などが含まれます。

  4. 肉類: 牛肉、鶏肉、豚肉などの畜肉もPDCAASが高い食品です。これらは必須アミノ酸がバランスよく含まれ、良好な消化率を示します。

  5. 大豆製品: 大豆は植物性タンパク質でありながら、PDCAASが比較的高いです。大豆製品としては、豆腐、納豆、大豆プロテインなどがあります。

これらの食品は、豊富なタンパク質とアミノ酸を提供し、消化されやすい性質を持っています。ただし、個々の食品においてもPDCAASの詳細は異なり、バラエティ豊かな食事で必要なアミノ酸を十分に摂取することが重要です。